緊急事態基本法のドラフト(骨子)はすでにできています。2004年(平成16年)5月20日に3党(自民、民主、公明) の幹事長名で合意がなされました。私たちは、今こそそれを実行に移し、基本法が早期に成立することを強く希望します。
1)「緊急事態」の定義 基本法の中にはいくつかの項目がありますが、その中で一番重要なのが、緊急事態をどう定義するかということです。事態の定義は、我が国に対する外部からの武力攻撃やテロリストによる大規模攻撃(有事)に加え、大規模な自然災害等の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす事態を「緊急事態」といたします。
2)内閣総理大臣の権限強化 現状では、内閣総理大臣の権限が地方自治体まで及ばないというのが今の現実です。ですから情報と権限を一元化し、政府が地方自治体と協力して救命、復旧に当たるようにしなければなりません。そのためには「緊急事態宣言」が必要であり、その法的根拠を明確にしておかなければなりません。 有事以外の緊急事態対応では、災害対策基本法が最も強力です。しかしこれは伊勢湾台風の3年後ぐらいにできたものであり、中央防災会議や地方防災会議が立ち上がって対応します。しかしその地方が壊滅状態になってしまったこの度の大震災のような状況は想定されていないのです。 そして、極めて重要なポイントは、総理は避難指示、避難勧告はできても命令はできない。最終決定権は自治体にあるという点です。私権や地方自治体の権限が制限されなければ 救命、復旧活動が遅れてしまうのです。緊急事態とはそのような事態なのです。これらの問題を一時も早く克服しておかなければ、東海、東南海、南海地震に備えることにならないのです。
3)有事に関して 有事に関してですが、現在、日米間の懸案事項があります。例えば、「日米新ガイドライン」(1997年) には、有事において、米国による民間空港・港湾の一時的使用の確保といった取り決めが記されていますが、 自治体に拒否されたら使用できない、というのが現状です。したがって、有事のときにこのような状態であれば、国民の生命は守れません。この意味も含めているのが緊急事態基本法です。 以上の3点を盛り込んだこの法案の早期成立を提言いたします。
(1)緊急事態基本法(骨子) 平成16年5月20日三党合意
- 緊急事態の定義
- 対象とする事態(「国家緊急事態」)は、我が国に対する外部からの武力攻撃、テロリストによる大規模な攻撃、大規模な自然災害等の国に及び国民の安全に重大な影響を及ぼす事態とする
- 緊急事態における内閣総理大臣の権限
- 緊急事態における迅速かつ的確な内閣総理大臣の意志決定を確保するため、閣議との関係を検討する。
- 緊急事態における体制の整備
(2)大災害時の対応と課題
- 有事以外の緊急事態への対応
- 災害対策基本法
- 大規模地震対策特別措置法
- 原子力災害対策特別措置法
- 災害対策基本法
- 総理(政府)は避難指示、避難勧告はできても命令はできない。
- 決定権限は自治体
(3)日米間の懸案解消
- 1997年の「新ガイドライン」の具体化が進展していない。
- (例)指針には米軍による民間空港・港湾の一時的使用の確保といった取り決めがある。しかし、自治体に拒否されたら使用できない。
- (例)有事の場合、強制的に接収することができることを明確にする。
2.集団的自衛権行使を認める
3.日韓防衛協力強化(協定)の実現